2017-06

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◆◇カリブの狼◇◆<第1話>

カリブ海に浮かぶ島国の中に、アクロチカとフォルサレムという国があった。
青い目を持つアクロチカの住人と、緑の目を持つフォルサレムの住人。
どちらも小さな島国だが、友好的な港が開かれ、富んだ国だった。
そして世はロマンと宝を求めた海賊が蔓延る、大航海時代――――。



「パール姫様、宴の準備が整いました。どうぞ、甲板の方へお越しください。王子様がお待ちでいらっしゃいますよ」
カリブ海に浮かぶ一艘の船の中、普段よりも豪華なメイド服へ身を包んだ付き人が、鏡台の前で鏡と向き合う一人の女性へ声をかける。
メイドの立つドアの向こう側から聞こえてくるのは、規則正しい波の音とざわざわとした喧騒だ。
時折聞こえてくる楽器の音は、この後演奏される曲目で使用されるものだろうか。
この船全体を、落ち着かない空気が満たしている。
ただそれは、喜びと活気に満ちた人々の声が混ざり合い、決して不快なものではないはずだった。
しかしそんな活気とは裏腹に、声を掛けられた張本人は、鏡を睨みつけるように身動ぎをしない。
「…姫様?」
返事をしない彼女へ向かい、メイドが再度心配げな声をかけた。
その呼びかけにはっとしたように、慌てて鏡からから目をそらし声の主を目に留める。
「…わかりました。すぐ行くわ」
力なくそう呟くと、パールと呼ばれたこの人物は鏡台の前に向き直り、姫と呼ぶには相応しくないほど顔を顰めた自分の姿に、一際大きなため息をついた。



カリブ海に浮かぶ島々の中に、アクロチカとフォルサレムという国があった。
島国の特性ともいえる漁や、熱帯気候による植物の多様化により、両国は富んでいた。
それぞれの国で頻繁に開かれる市では、国の人間だけではなく大陸間を移動する商船の船員たちの姿を見かけることも多かった。
羽振りも良く、また外国の珍しい品物を持ち込む船乗りたちは歓迎され、島の市場はいつも賑わいが絶えなかった。
カリブ海諸国の中でも国土の広い両国は、カリブ海の中心的な存在ともいえただろう。
外国船の来航が頻繁なこの地域で絶えず起こっていた諸国間の争いが全くと言っていいほどに無くなったのは、この両国が結んだ共和同盟の力が大きかったに違いない。
そして今日は、その同盟の象徴とも言えるある儀式…両国の王子と姫の結婚の前祝いの式典が、カリブ海に浮かぶ豪華客船で今まさに始まろうとしていた。



膨れっ面をした娘の待つ船内の一室に、大柄な男性が足を踏み入れる。
体格もさることながら、小さな島国はいえ目まぐるしく変わる情勢を抑えて一国を治める王としての貫録が男からは溢れているようだった。
しかしそんな男も、愛娘の前ではただの父親でしかない。
豪奢なドレスに身を包んだ娘を見れば、たちまち相好を崩した。
「おお、パール!いつ見ても綺麗だが今日のお前はますます綺麗だ。私の娘とは到底思えんなぁ」
そう満足そうに言って嬉しそうに笑う男を睨み付けて、パールは尚も不機嫌な声を上げる。
「あんなに嫌だって言ったのに!私は自分が決めた人と結婚したいの!!お父様なんかもう知らない!!」
「…そう怒らんでくれよ、王族の定めだ。あちらの王子様も、お前のことを気に入ってくださっているようだし…。同盟国の王子様と結婚できるんだ、幸せなことだろう?」
幼いころから頑固な娘を説き伏せる労力と、今日まで繰り返された言い合いの数々を思い出し、王は困ったように苦笑して言う。
パールは下手な作り笑いを浮かべる父親をいっそう強く睨むと吐き捨てるように言った。
「私にとっては幸せでもなんでもないわ。妹のリィナのほうが立派な姫じゃない。私なんかを嫁に出すより、リィナを嫁に出した方がこの国にとってはいいと思うけど?」
「リィナはまだ幼いだろ、結婚するには早過ぎる。それにもう決まったことだ。一国の姫が我が儘を言うんじゃない、パール」
この期に及んで諦めが悪いとは思っていたのだろう、パールもそれ以上の口答えはしなかった。
それでも不満が解消されたわけではないらしく、相変わらず口調は不機嫌なままだ。
「…何しに来たのよ」
「うん…これをお前に、やろうと思ってな」
不機嫌そうに顔を背けたパールに、男は真っ白に光り輝く真珠のネックレスを差し出した。
「我が国の自慢の真珠だ・・。お前のその青い目に似合うと思ってな」
それを娘の首にかけてやるとそっぽを向いている娘に声をかける。
「早く来いよ、王子様を待たせたら悪いだろう」
父親が出て行ったのを確認すると、パールはもう一度鏡台の鏡に映る自分の姿を見つめた。
透き通るほど真っ白な肌に、ゆるいウェーブのかかった栗色の髪。
そして空よりも青い瞳。不機嫌な顔をしていても、高貴な姫らしい整った顔立ちだった。
今しがた父親から与えられた真珠のネックレスが、胸元で気品のある光を浮かべて光る。
ただその輝きも、パールの心を晴らすのには全くと言っていいほど役に立たなかった。
最後にまた一つ深いため息をつくと、未来の夫となるであろう王子がいる甲板へ、重い足取りで向かった。



船室のドアを開けると、一人の男が手を中途半端に伸ばしたまま驚いたような顔をして立っていた。
どうやら自分が開けようと手を伸ばし掛けていたドアが内側から開いたので驚いたらしい。
それでも、室内から出てきたのがパールだと分かるとドアが閉じないよう片手で支える。
「パールさん、ちょうど良かった。今呼びに伺おうと思っていたところなんですよ」
「お手数をかけさせてすみません、ロビンソン王子様」
「やだなぁ、改まって王子なんてつけないで下さいよ。ロビンソンで結構です、パールさん」
そういうと、男は新緑の若葉のような緑色の目を細めて照れたように笑う。
この長身で濃い茶色の髪をした男こそ、隣国・フォルサレムの王子だった。
歳はパールより1つ上だが、どこか幼さが残る顔立ちをしている。
結婚に乗り気でないパールに対し、ロビンソンは心よりこの結婚を望んでいるようだ。
それが申し訳なくもあり、二人で話すことに気まずさを覚えたパールは先に立って歩き始めた。
「甲板に行きましょう。きっと皆さん待っているわ」
――――その時だった。

凄まじい爆音が響き渡ったかと思うと、船体が大きく揺れた。
「ッ…何?!」
階段をのぼりかけていたパールは、大きくふらつくと辛うじて手すりにしがみ付く。
慌てて周りを見回すと、船尾のほうから黒煙が上がっているのが見て取れた。
爆発の衝撃により、船はメキメキと不気味な音を立てている。
そういえば、自分の立っているこの階段も斜めに傾いでいるような気がする。
「パールさん!!速くこっちに!!」
声のしたほうを振り返ると、階段の下からロビンソンが手を伸ばしている。
しかし、差し出されたロビンソンの手を取ろうと足を一歩踏み出したその瞬間…再び轟音が船を襲った。
一度目のそれとは比べ物にならないほど巨大な、二度目の爆発の衝撃で――パールは海へと投げ出されてしまった。



その頃、ある船の上では―――
「おーい、酒がねぇから持って来て!!」
「自分で来いよ」
「船長権限」
「そんな権限無ぇよ」
たくさんの男たち。酒の匂い。決して上品とは言えない、騒がしい喧騒。先程までの豪華客船とは大違いだ。
その船のメインマストの先には、漆黒の旗が掲げられていた。
旗の中央には、右目に眼帯、耳には黒いピアスをつけた狼が頭蓋骨に片足を乗せたデザインが描かれている。
紛うことなく、それは海賊船だった。
そしてその船の真ん中あたりで、旗の狼と同じく右目に眼帯をつけ、黒いピアスをつけた茶髪の男が、空になった大きなジョッキを持て余している。
眼帯をつけていない左目は澄み切ったカリブの海のような青さだ。
頭には赤いバンダナを巻き、首には金のペンダントがかかっていた。
「ほらよ、酒くらい自分で取りに来てください。船長さん」
「何だかんだ言って持ってきてくれてありがとうございます」
仲間のわざとらしい敬語に苦笑いで酒を受け取ると、眼帯の男はまた酒に口をつけた。
彼の名はジャック・ウルフ。このウルフ海賊団の若き船長である。
意思の強そうな瞳と日に焼けた肌が印象的な、なかなか男らしい顔つきをしている。
「…飲み過ぎ」
「そぉか?俺はまだいけるぞ」
そういって軽く酒を飲み干し顔をあげると、ジャックは怪訝そうに眼帯をはめていない方の真っ青な目を細めた。
「どうした、ジャック?」
傍で一緒に酒を飲んでいた仲間の一人が訊ねた。
男しか見当たらないこの船で唯一の女性だ。
目鼻立ちの整った美人ではあるが、男だらけのこの場所で育ったせいだろうか。
その精悍な顔立ちは周りの男にも劣らぬものだった。
思わず目を引くような明るいオレンジの髪をしている。
その色が、不思議と青い目によく似合っていた。
「ロゼ、お前望遠鏡持ってただろ?あれ…船じゃねぇか?」
「何?」
ロゼと呼ばれたその女は、手にしていた酒を押し付けるようにジャックに渡し、ベルトに挟み込んでいた望遠鏡を覗く。
ジャックの目線を辿ると、確かにそこには沈没しかけた船が見えた。
「船だ。あーあ、ありゃダメだ。沈没するのも時間の問題だな」
「商船か?」
訊ねながら、ジャックがロゼから望遠鏡を受け取る。
「海賊船じゃなさそうだけど…商船にしちゃでかいな」
「とりあえず近づいてみるか。あの様子じゃ攻撃されることはないだろうが用心は怠るなよ」
「オーケイ、ボス」
風は誂え向きに追い風だ。尤もあちらの船にしてみれば、この風に煽られては沈没が早まるだけだが。
徐々に近づく船の様子を詳しく見ようと双眼鏡の微調整を繰り返していたジャックが、ふいに目を細める。
「待てよ、あの旗…どこかで見たような」
しかしジャックの独り言をかき消すように、別の団員が叫んだ。
「おい!人だ!!女が一人流されてる!!」
「何?」
予想外の言葉に、ジャックは望遠鏡の向きを変えた。
さほど遠くも無いところに、団員の言うとおり一人の女が流されているのが見えた。
もっとも、波にさらわれた状態では顔での判別などできはしない。
それでも一目で女だとわかったのは、その身につけている豪奢なドレスのおかげだ。
「ヴァンス!!引き上げろ!!」
ジャックが声をかけると、一緒に酒を飲んでいた金髪の男が、何の躊躇もなく荒れた海に飛び込んだ。
オレンジ色のヘアバンドを付け、このあたりでは珍しい金色の目をしている。
少々きつい目つきだが、意志の強そうな整った顔をしていた。
揺れる波など気にも留めない様子で、ヴァンスと呼ばれた男はスイスイと女のところまで泳いでいく。
年は周りの団員よりも幾分か若いようだが、体格は船長のジャックよりも一回りほど大きかった。
瞬く間に戻って来たヴァンスへ、太いロープが下ろされる。
ヴァンスは水を吸ったドレスを引き裂くと、身軽になった女を担いでロープを掴んだ。
「いいぞ。あげてくれ」
ジャックの指示で、団員たちがてきぱきと二人を引き上げていく。
手の空いている他の団員は、周りにある道具を駆使して波に揺れるドレスをすかさず回収した。
ヴァンスへぐったりと体を預ける女に、意識は全く無いようだ。
「ロゼ!」
「ああ、分かってる」
ジャックに指示されるより速く、ロゼは女を甲板へ仰向きに寝かせた。
流された時に何かの破片で切ったのだろう、腕と足に切り傷があったが、その他に目立った外傷は見当たらない。
飲んだ水を吐き出させ、呼吸を確かめる。
この海賊船の船医であるロゼの看病は手馴れたものだった。
程なく飲み込んだ水を吐き出し、しばらくは苦しげに咳き込んだものの呼吸は再開される。
「もう大丈夫だろう」
ロゼの言葉に、見守っていた団員たちの口から安堵のため息が漏れる。
しかし、命に別状がないからと言ってこんなところにいつまでも寝かせておくわけにはいかない。
群がる団員たちを手振りで追い払い、ロゼが立ち上がる。
「ジャック、あんたのベッド借りるよ。ヴァンス、この子運んで」
「…ああ」
水を吸ったシャツを絞っていたヴァンスは、再び女を抱きあげると船室へ向かって歩き出すロゼの後を追った。
「…じゃあお前ら、勝手に酒でも飲んでろ。俺たちは忙しいからな」
事の成行きを見守っていた他の団員にそう言い残すと、ジャックも二人に続いて船室へと下りて行った。 ***ちょっくらあとがきでも。

うわぁぁぁぁぁあごめんなさいすいません!
こんなものを世に公開して後悔してますごめんなさい!(まず黙れ

この作品はかれこれ3年近く昔に作った処女作のリメイク加筆版です。
いやぁ…なんていうか目と心が痛いです、文才が無さ過ぎて←
ここ2年ぐらいまともに小説作ってなかったので直すだけでも時間がかかるかかる。
2話目がいつできあがることやら…orz
気力と画力が衰えなければキャラのイラストなんかも載せられたらいいなーと思っております。

そんなわけで更新は亀ですが、っていうかカタツムリくらいですが暇つぶしにでもしていただければ幸いでございます。
…もし気に入っていただけたら感想なんかいただけると嬉しいなーなんて!←
未熟者ですがどうぞよろしくしてやって下さい。
でわでわ。
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きゃあ

きゃあーp(^^)qパール!!全部が懐かしい!笑(^^)ほのかの昼寝中にじっくり何回も読も(☆_☆)笑

ごごごごめん

放置しまくってて全く見てなかったわ…(お ま え
うちも何か懐かしいわ…。
紛れもなく君が読者第一号です、恥ずかし過ぎて消したい過去だよ(笑
そんなことよりいいかげんあの絵捨ててください。
それが唯一の望みです(笑


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